カーテンコール・スクラップ

醜悪な男の話6

 さて、それからの僕は次の段階、すなわち本来の目的に向けて動き出していました。セシル君との逢瀬自体が味わい深いものだったのは嬉しい誤算でしたが、あくまでそれはセシル君を決定的な崩壊まで導くまでの過程です。  セシル君をより深い奈落の底へと突き落とす為、そして何より僕が這い上がる為にはもっと材料が必要でした。  その為に僕がセシル君へ命じたのは、スポンサー達への枕営業でした。こんな業界ですからその手の話はありふれていましたが、シャイニング事務所は基本的に枕営業とは縁遠い事務所でした。  それはそんなものが無くても業界を支えられる実力と権力、そして圧倒的財力に裏打ちされたもので、当然ながら稼ぎ頭たるセシル君もその教えを忠実に守っていました。どうしても耐えられずに内密に声をかけた愚か者も幾人かいたそうですが、その度にセシル君は目の前で社長に電話をしたり通報したり近くにいた仲間達を捕まえて言われた内容がどういう意図か解説を求めたりなどして大騒動になりかけた、なんて話もありました。  これほど潔癖な存在な訳ですから、逢瀬を夢見ている人間を探すことは非常に簡単でした。その中でも特別にネタになりそうな人間を絞り込んで、セシル君から連絡を取らせました。当然ながら正気のセシル君からは非常に嫌がられましたので、僕はしっかりと暗示をかけ直さなければなりませんでした。誇り高い彼にとっては立場を利用して近づいてくる存在に尻尾を振るのが嫌だったのでしょう。  ですが権力者とある程度のパイプやそれなりに大きい仕事が得られるのでセシル君にとっても悪いばかりの話ではない筈ですし、自分だって恋愛禁止令を盛大に破っている癖にワガママを言わないでほしいものです。それに連絡を取る過程で僕が絡んでいたことがバレたら、命が幾つあっても足りません。  真っ先に誘いに乗った一番の馬鹿……いえ、貴重な支援者は以前からセシル君に迫っては手酷く断られていたプロデューサーの一人でした。まんまと電話で呼び出されたその男は、ホテルの前で待っていたセシル君の腰に馴れ馴れしく腕を回し、息を荒くして何かしら囁いていました。正気のセシル君であればその場で突き飛ばしていたでしょうが、今の彼は僕の可愛い商売道具ですからそのまま指を絡めて、優しく寄り添っていました。その僅かな指の動き、首の傾きがセシル君をより美しく見せていて、シャッターを切った時まるでモデルを撮影しているかのような妙な気持ちになったことをよく覚えています。  セシル君には写真を撮ることを伝えていたので恐らくカメラを意識してのことでしょうが、僕はその才能に改めて慄き芸能界からそれが失われることを少しだけ嘆きました。そうしてホテルに入った二人は朝まで出てきませんでした。狙い通りその男は熱心なリピーターになってくれましたし、セシル君の誘いが本当なことを事務所にはバレないように上手く吹聴して良い広告塔となってくれました。その効果もあり最初は急に誘いをかけたセシル君に対して訝しげな態度をとっていた連中も、極上の餌に惹き付けられて入れ食い状態となりました。  もうセシル君の躰は遊び相手をするのに随分都合のいいものになっていましたので、挿れることしか考えていない豚共は手間が省けたと大層喜んだそうです。  幾人かはピアスを付けて他の男の手垢に塗れた彼を見て逆上したそうでしたが、その手の人間に限っていつまでもしつこくまとわりついてくるのだと、セシル君は柳眉を顰めて語っていました。純情ぶっていて現実はそんな淫乱だったのかと間近で絶叫されながら、相手の後孔を舐めるように命じられた時は笑いを堪えるので精一杯だったという話を聞いた時には僕も一緒になって笑いました。首を絞められながら幾度も謝罪を繰り返し犯されたという話をまだ生々しい痕を首筋に浮かべたセシル君から語られたこともありました。  ですがどんな話をしていてもセシル君の表情からは嫌悪は見当たらず、寧ろ恍惚とした様子だったのです。  今まで側に寄せようとしなかった連中に蹂躙されながら、彼はその状況に興奮を滲ませているのでした。そして最後にセシル君は夢見る瞳を僕に向けて、それでもアナタが一番と囁いてくれるのです。誰を相手にしていてもアナタへの思いが消えることは無い、と。それは僕に取って何よりの栄誉でした。  しかしそれはあくまで僕の玩具としてのセシル君であって、実際のセシル君の態度は変わらず冷たいままでした。罰を与えられたのが堪えたのか明確な抵抗自体はしなくなりましたが、甘い唇を噛み締めて必死に耐えているセシル君を見ていると、幾度目かの罪悪感が僕の心を過りました。暗示をかけている時はともかく、本来の彼を手込めにしている時はいつもこうなってしまうのです。セシル君は僕の前で痴態を晒すのを嫌がり、与えられる快楽をまるで苦痛であるかのようにじっと耐えているのでした。  当然ながらその情景はあまりに気の毒で、その頑なさを剥がしてセシル君の瑞々しい悲しみを存分に解放させてあげたいと願わずにはいられません。どうしたらと僕が頭を悩ませていると、ふと思い当たるものがありました。セシル君は心を許した人にとても甘える傾向があるのは、僕もその恩恵を存分に受けていましたので理解していました。つまりセシル君は親しい人々の近くならばもっと感情を素直に出せるのではないでしょうか。  思い付きさえすれば簡単なことでしたので僕は関係者に暗示をかけて、セシル君と特に親しい人々を事務所の談話室に集めさせました。彼等にも僕は幾度となく暗示をかけてセシル君に対する認識を歪めていましたが、同じ空間でじっくりと顔を合わせるのはこれが初めてでした。揃ったところを改めて見渡すと、流石天下のシャイニング事務所です。  皆負けず劣らずの美男揃いで、こうして集まると壮観な景色でした。ですが改めて他の人間と見比べても、僕にとってセシル君の素晴らしさは目を見張るものがあるのでした。その旨をセシル君に伝えたのですが、彼は僕を憎らしげに睨むばかりです。  セシル君は僕の隣で意識だけを正気に戻して座らせていたのですが、一人また一人と友人が部屋に入ってくる度に酷く躰を震えさせていました。 「どうして……こんな、ひどい……!」  既に僕が何をしようとしているのか察しているのでしょう。セシル君は漸くそれだけ口にすると、青ざめた顔で仲間達を見渡しました。気の優しい仲間達は具合の悪そうなセシル君を心配して声をかける人までいます。その度にセシル君は、わっと泣き出したいのを耐えているように見えました。 「何故、ワタシだけではダメなのですか?」  今にも震えそうなのを必死に抑えている声には怒りと悲しみが色濃く滲んでいました。 「君が存分に泣けるようにだよ」  僕がセシル君をソファーに押し倒すと、彼は押し殺した呻き声をあげました。その唇に口付けて、シャツを捲り上げながら全身を撫で回すと、声に含まれていた苦痛はすぐに消え去っていきます。セシル君は必死に声を抑えようとしていましたが、それが許されるほど僕達は同じ夜を過ごしてはいませんでした。僕の暗示のおかげでセシル君のお友達は可哀想な彼を視界に入れながらも普通の日常を過ごしていました。賑やかな談笑に興じる人や楽器の練習に勤しむ人、仕事の台本を読み始める人もいて、その中にセシル君の嬌声は溶けていきます。 「辛かったね」 「もう大丈夫だ」 「苦しかったろう」 「ここには君のお友達がみんないるんだよ」  僕がそう声をかけていくうちに、分厚い絨毯の上に一滴、また一滴と涙が落ちていきました。嗚呼、良かった。やっと彼は悲しみを表に出すことが出来たのです。 「やめて! もうやめてください! 嫌だっ、見ないで……くださっ……ぁあっ!」  切り分けられていた日常と非日常がごちゃ混ぜになっていく恐怖。それにセシル君は打ちのめされているように見えました。ベルトに手をかけた時も非常に嫌がられましたが、友人皆の前で恥部を晒して、僕に組み敷かれているなんて確かに羞恥で死んでしまってもおかしくありません。セシル君は出来る限り顔を伏せようとしていました。ですが挿入した瞬間を見計らって後ろから髪を掴んで顔を友人達へ向けてやると、嬌声と嗚咽が入り交じった悲鳴をあげるものですから、つい僕は笑ってしまいました。  生意気にもセシル君は随分と耐えていましたが、それが決壊して絶頂を迎えた時など非常に愉快でたまりませんでした。流石にセシル君の様子に少し違和感を感じたのか、赤髪の青年が近寄ってきた瞬間に僕が奥を強く突いたものですから、セシル君は彼に自分の精液をひっかけることになってしまったのです。腿辺りに付いた精液を不思議そうに拭き取っている姿を見ながら、セシル君が涙を流して謝っている光景はなんとも惨めでした。  どうせ相手は何をされたのかも分かりませんし、セシル君の謝罪が正しく届くこともないというのに。  僕はこの営みを大変気に入りましたので事務所に留まらず楽屋や練習場などに場所を移して幾度となくこの行為を繰り返しました。  僕達の愛の行為を見るのは友人達だけでなく頼もしい先輩達であったり、他の事務所のアイドル達だったりしましたが、こうして親しい人々に哀れな姿を晒す度にセシル君に浮かびあがる悲しみの色はより深く瑞々しくなっていくように思われたのです。  だからこそ僕はセシル君の終わりを最高の舞台で晒してあげることを決意したのでした。  手元にはセシル君を写した何枚もの写真があります。  これは薪です。誰かがこれに火を付ければそれは美しく燃え上がることでしょう。僕は最高の火種を用意する為に、久しぶりのオフを過ごしていたセシル君をホテルまで呼び出しました。  扉を開いた時、セシル君はほぼ正気に返っていて、今にも吐きそうな顔をしているのがとても印象的でした。  血の気などとうに失せていて青い顔をしたまま僕を睨んでいるのです。 「いらっしゃい。……今日はセシル君に伝えたいことがあるんだ」 「何でしょう」  アナタの愛ならもう聞き飽きましたが、とセシル君は僅かに唇を歪めました。僕はその態度は見逃してあげて、彼のしなやかな手を握って言葉を続けました。 「今日で会うのは最後にしよう」 「は……?」 「これから仕事が忙しくなりそうなんだ。セシル君だってもうこんな生活は嫌だろう? 良い機会だから解放してあげようと思って」  セシル君は猫のような目を丸くして僕を見つめていました。到底信じられなかったのでしょう。戸惑い、安堵、疑念、歓喜と様々な感情がその瞳を過ぎていきました。  僕はそのままセシル君の手を引いてベッドまで導いていきます。 「少し寂しくなった? もう可愛がってあげられないからね。彼女とセックス出来てるのかい、そんな躰で」 「……余計なお世話です。アナタには関係ない」 「まあいいよ。興味ないし」  僕は広々としたベッドに腰掛けながら上着を脱ぎました。布が床に落ちる音だけでセシル君は微かに肩を震わせていましたが、当人はそれに気づいていないようです。 「最後の思い出作りにゆっくり楽しみたいんだ。僕を満足させてくれたら自由にしてあげるよ」  させなかったら、という条件は敢えて言いませんでしたが、賢いセシル君は僕が何を求めているのかすぐに理解したようでした。  ですが彼の視線はある一点で止まったままでした。僕が取材用に使っているカメラが三脚に支えられてベッドを映しているのです。  彼はそれが気になって仕方ないようでした。 「ああそれ、それも思い出作りの一つだよ。嫌だって言うなら――」 「分かっています。……早く済ませましょう」  セシル君は吐き捨てるように言うと僕の前に跪きました。慣れた手付きで僕のスラックスのチャックを下ろすと既に抑えきれないほど勃ち上がっている陰茎が現れます。一瞬だけ躊躇した後、セシル君は喉までそれを咥え込みました。殆ど正気だからか僕のことを随分と憎らしげに見ていましたが、躰だけは仕込まれた通りに僕好みのまま動いているのが愉快で仕方がありません。  せっせと僕の機嫌を取りつつ、セシル君も服を緩めてローションを手に取ると濡らした指を自分の躰に挿入しました。やや大げさなほどに躰が震えていましたが、僕への奉仕が止まることはありません。  今までに無い積極性に僕は少し驚きましたが、それだけセシル君が早く解放されたかったということなのでしょう。  別の意味でここまで積極的なら僕も思うところがあったのですが、愛情故と定義するにはセシル君の瞳は空虚過ぎました。  僕は躰を曲げて、彼の柔らかな耳に血が滲むほど噛み付きました。すると漸くセシル君の動きが止まりました。  そのまま両手を背中や胸元に滑り込ませると、一瞬で鳥肌が立っていくのがよく分かります。僕を睨んで動かなかった顔が伏せられたのを感じました。  セシル君を支配している恐怖の感情は僕に対するものでもありますが、彼自身の変わり果てた躰へのものでもありました。先ほどまで自分で高めていたこともあり、僕が少し可愛がってあげるとベッドに新しい染みが広がっていきます。  まだ触れられてもいない陰茎を濡らして呆けている姿は何度見ても美しいものでした。僕への奉仕も忘れていたようで、セシル君は亀頭を口に含んだまま、上気した頬を僕の股間に埋めていました。正気の状態だとまだこういう絶頂の迎え方に慣れていないのでしょう。情けないものです。  ですが、用意した正装を彼に身に着けさせるのに丁度良かったので、僕は放置していたトランクに手を伸ばしました。そこから取り出したのはセシル君の為だけに作らせたチェーンピアスです。  彼の乳首に付いていたピアスを外し、照明の明かりを反射して美しく輝くチェーンを僕は強引に突き刺しました。 「ひ、い゙ぃ⁉」 「やっと起きた? でも痛いってことはちょっと大きく作り過ぎたのかな。ごめんね」  僕がもう片方の乳首にも深々とチェーンを通すと、セシル君の目は完全に覚めたようでした。今にも床に倒れそうだった躰をベッドまで引き上げてあげると、褐色の膚を銀色の鎖が彩っているのがよく見えました。セシル君はタトゥーを入れていましたから、その紫の色彩と相俟って、非常に退廃的な美しさがあるのです。  僅かに勃起しかけている陰茎にもビアスが輝いていて、彼の躰を彩っているのでした。  躰をくまなく覆っていた筋肉が少し落ちて、線が細くなったことでしなやかさが増し、ピアスの金属質な輝きと完璧な対比を生み出していました。  これまで幾度となく眺めていた躰ですが、何度見ても新鮮な気持ちになるほど美しいものです。僕は思わずため息を吐きました。  セシル君も眉を寄せて荒い息を吐いていましたが、そんなことに構っていられる余裕などありませんでした。  僕はそのまま彼の躰にのしかかりました。既に解された柔らかな内部は僕を暖かく受け入れてくれています。  堅いだけでは無くなった、僕の為に変わった箇所で僕は存分に暴れました。その度にセシル君を彩るチェーンが軽い金属音を立てるのが、更に興奮を煽ります。ですが、肝心のセシル君は唇を噛み締めたまま苦しげに唸るばかりでした。彼も感じているのはダラダラと零れる先走りが証明しているのですが、それでもつまらないプライドにしがみ付いて僕に全てを晒そうとはしないのです。  そんな態度を取るからこそ、よりその精神をズタズタに引き裂いてやりたくなることなど生涯彼は理解しないのでしょう。 「ねぇ、セシル君は音楽とセックスってどっちが好きかい?」 「………っ…………ゔうっ……」 「おい」  セシル君の頬へ思い切り拳を振り下ろすと、躰が強ばったのか内部がよりキツく締まりました。 「セシル君、僕を満足させてくれるんだよね?」 「………………音楽です。ワタシはそれだけの為に生きています」  漸く口を開いたかと思えば、随分消え入りそうな声で彼は僕に話してくれました。これほど躰を暴かれている状態でもそんな答えを返してくるのが少し気に障りました。どうせもう抱けもしない恋人のことを想いながら言ったのでしょう。今日で一区切りですから僕は後先を考えずにセシル君への暗示を強めました。 「あ゙あ゙ぁっ⁉ やめて! そんなことワタシは言いたくない!」  途端にセシル君が酷く苦しみ始めましたので、僕は驚きました。もう彼に備わっていた耐性も克服したと思っていたのですが、強い力が最大限に抵抗しているように感じられたのです。 「言いなよ、ほら」  僕は咄嗟にボイスレコーダーの電源を入れると、セシル君に突きつけました。そのまま何度も、何度も腰を動かすと、セシル君の苦痛に満ちた叫び声はますます大きくなっていきます。  かなり頑張っていたようですが、躰は彼の意志を裏切ってとうとう絶頂を迎えました。その瞬間、セシル君は掠れきった声で僕の命じた言葉を口にしました。 「音楽なんて……どうでもいいんです……」 「あーあ、一流のアイドルもこうなってしまえばおしまいだね」  僕は敢えて晴れ晴れと言葉を続けましたが、内心穏やかではありませんでした。幾ら暗示を強めようと言葉を紡ぐその顔は酷く歪んでいて、明らかにセシル君自身の言葉ではないと誰が見ても分かってしまうからです。  本当ならば正気のセシル君で事を済ませたかったのですが、僕は渋々諦めざるを得ませんでした。  ですが、悲しむことではありません。この日々でセシル君が正気である時間なんて限られていました。今となっては僕の支配下にいるセシル君こそ、彼の本性と言えるのではないでしょうか。 「もう……やめて……」 「セシル君、ありがとう。……愛してる」  僕は弱った彼の意識をいつものように沈めました。  代わりに浮かびあがってきたのは僕の愛おしい恋人としての姿です。あの純粋な輝きは瞳から失われて、残っているのは目の前にいる〝恋人〟への愛情ばかりでした。 「セシル君、これから君は大観衆の前に出るんだ 分かっているね」 「はい……」  セシル君はゆっくりと躰を起こすとカメラの方へ視線を向けました。既にどう映されるのかを計算している姿には骨の髄まで染み込んだ経験が浮かんでいました。 「君の心からの願いを言うんだよ。僕に聞かせてご覧。セシル君が愛しているもの、何よりも優先させたいものはなんだい?」  顔を映さないように僕が頭巾を被りながら問いかけると、セシル君は僕に強く抱きつきました。まるでこの世になんの未練も無いかのように。 「アナタです。アナタ以外いません。やっと出会えたワタシだけの、運命の人」  そうして僕のシナリオ通りにカメラは回りました。  遂に僕は最後の仕上げを終えることが出来たのです。  何も知らないセシル君はステージの上で今の自分を見て、観客の前でどう振る舞うのでしょうか。  いつかのように吐いてしまうかもしれません。覚えの無い光景に大声で弁解を始めるのかもしれません。咄嗟に全てを投げ出して逃げ出すのかもしれません。  どんな光景であれ、それは普段のセシル君からは想像できないほど見苦しく、無様で、耐え難い物です。  ですがそんな情景こそが何よりのセシル君の堕落の象徴と言えるのでしょう。セシル君が開く最大のライブはもう明日にまで迫っていました。  彼の最高の舞台になり得ることを心から祈っています。
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