生み出される理由

 メロディが浮かぶ瞬間、それはあらゆる時にやってきて。――例えば友達と屈託のないおしゃべりをしている時だったり、録り溜めていて中々見られなかった番組をチェックしている時だったり、一人で適当に料理をしている時だったりする。  そんな時の為にわたしはいつもノートを持ち歩いていて、苦笑されたり、自分に呆れたりしつつもせっせと思い付きを書き留めている。作曲をしている最中にも別のアイディアが浮かんできて、慌ててメモを取ることだって数え切れないくらいだ。  そんななかでも、一番アイディアが浮かぶのは彼と一緒に過ごす時間だった。あの人の広い手が頬を撫でて、温かさが全身を包んでいく時、わたしの中でメロディが溢れて止まらなくなる。  全てを忘れそうなくらい強く、長い間愛され続けて、そんな時間が過ぎ去っても忘れられない一握りをわたしは五線譜に書き写す。それは愛された記録そのものだ。寝物語もそこそこにメモを取り始めるわたしを彼が笑ったことは一度も無い。暗い部屋の中でも深い色に輝く瞳でわたしをじっと見つめてくれる。わたしが紡ぎ出す音楽は想いの結晶だということを、彼は誰よりも分かっているから。  そうやって集まった一節達をつなぎ合わせて、誰にも真似できない曲が生まれていく。わたし達の愛はそうやって多くの人に愛されていくのだろう。  だから当たり前と言えばそうなのかもしれない。他でもない愛情の源と過ごす時にメロディが鳴り止まないのは。

春歌ちゃんの音楽と愛が密接に結びついているのいいよねって話。

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